誠拙周樗(大用国師/1745-1820)は宇和島市生まれの臨済宗の禅僧。誠拙は7歳にして、佛海寺(ぶっかいじ)(宇和島市)で出家。
37歳の時、円覚寺(鎌倉市)僧堂前版職(僧堂で修業僧の師を務める職のこと)に就任。一時荒廃していた円覚寺の再興に尽力し、
「中興の祖」と称されています。書画や詩偈、茶事なども行った誠拙。本展では禅師の200年遠諱を記念し、誠拙作品10点を展覧します。
誠拙の《布袋図》(表:中段左)は、布袋の大きなお腹と満面の笑みが目を引きます。
布袋は家財道具を袋に詰め込んで裸同然の身なりで暮らした中国の禅僧。民衆と同じ目線で布教した聖者として、禅画の画題によく登場します。
江戸時代の禅僧の多くは、布袋と同様、民衆の生活に分け入った布教に徹しました。そのため民衆にも親しみやすい、同じ目線で描かれた禅画を数多く残しています。
本展では誠拙の兄弟弟子にあたる田翁慧聡(でんおうえそう)や学信など、どこかひょうきんな禅画を一挙展示。
ひょうきんさの奥には、禅の教義や精神が表現されています。